2018年7月に起きた「西日本豪雨」で甚大な被害を受けた、岡山県倉敷市の災害ボランティアに参加してきました。
被災を受けてから3ヶ月経過し、今更自分に何かできることはあるのかどうか、医療知識も建築の知識も何もない私が行っても役に立てることなんてあるのか、、、複雑な思いを抱いたまま、だけど何か行動に移したくて一人新幹線に飛び乗り岡山県へ向かいました。
東京で事前に聞いていた情報やインターネットでの情報は、様々なものがありましたが、事前に倉敷市災害ボランティアセンターのボランティア登録(https://kuravol2018.peatix.com/view)をネットで行ってみたところ、まだまだ人手を募集しているとのことで、現地入りが決まりました。
決められた集合場所でボランティア受付を済まし、5人1組のチームに分けられ、その場でその日ボランティアに参加する地域が割り振られます。
私のグループが割り当てられたのは、岡山県下で最大の流域面積を誇る一級河川・高梁川とその支流に挟まれた地域。真備町川辺という地域の川の決壊したすぐそばのお宅に配属されました。
現地に向かう途中、氾濫した高梁川を車の中から撮影。
当時このあたりは川が大規模に決壊し水浸し。向こう岸までかかっている橋のすぐ下まで水があがってきていたというのが信じられません。今現在は遠く下の方に川が見えます。
被災してすぐの頃は人材もそうですが、ボランティアの方々を運ぶ車も揃わず、かろうじて使える農家の軽トラックの荷台に人がめいいっぱいに積まれて走っていたとのこと。救急車のサイレンは鳴り止まず、トラックに乗り切れない人たちは泥まみれで歩き続ける、、、それはそれは悲惨な光景だったそうです。
私たちグループの任務は、住居の床や壁を外し、床下に溜まっている土砂を掻き出し、きれいにすること。依頼主の住人の方は床や壁を新しく張り替えて、また同じ場所に住みたいとのことでした。
人生で初めて手にしたバールの使い方を同じグループのボランティア仲間のリーダー(大工職人をしていた男性)に教わり、床外し。テコの原理を利用し、釘に対して垂直ではなく、斜め45度に入れるのがポイントだと教わりました。完全に一階部分は水に浸かり、泥まみれだった住居の扉や窓を外し、3ヶ月の間乾燥させていたお家。床下に溜まっていた泥は、完全に乾燥して砂状に。床外しを一通り終えた後はひたすら土砂を土嚢へ移し外に運び出す作業。
10月に入りだいぶ涼しくなった頃でしたが、30分も作業を続けると汗でゴーグルが曇り前が見えなくなる。乾燥した砂と壁のほこりで全身砂まみれ。砂埃で咳が止まらなくなる方や声がしばらく出なくなる方もいるとのこと。砂埃の中の作業も予想以上に過酷なものでしたが、被災直後、夏の炎天下の下、下水が入り混じった泥を掻き出す作業を行ってきた地域の住人の皆さん、ボランティアで入られた方々のことを思うと、頭の下がる思いです。
その場で突然決まる5人1組のボランティアチーム。お互いの年齢や職業何もわからぬまま、その日1日協力して作業を進める。ついさっきまではどこのどなたかも知らない人だったのに、時間が経つにつれ、笑顔で会話したり、作業の手際良さをみて慕ったり、少し休んだらどうですか?と身体を気遣ったり、、、無心でそれぞれが目の前の自分にできる精一杯の事に一生懸命取り組んでいるうちに、不思議な一体感が生まれる。5人それぞれの役割のようなものが見えてきて、尊敬の思いが生まれる。まるで家族のような温かい空間。出会いとは本当に不思議なものですね。
作業が終わりにさしかかった時、リーダーがメンバーに言いました。「最後はみんなで玄関まわりを掃除しよう。」一つの住居を片付けるのだって、1日たった5人の力ではできることはしれている。だけど、1日の作業が終わって依頼主の住人の方が帰ってきた時、まず目にする玄関が綺麗に片付いていれば、心が少し安らぐのではないかというささやかな気遣いでした。
被災された住人の方にとっては、まだまだ続く片付けの作業。思い出のつまった我が家の全てを撤去し、そしてまた一から家を作り上げなくてはならない。
何もかもがダメだと希望を失くしそうな時、それでも何かほんの小さなことの積み上げで、また前に進むことの希望を見いだすことができたなら、、、チーム全員で最後の力を振り絞り、玄関先で伸びきっていた雑草を刈り、そこら中に散乱していた道具を揃え、砂や塵の掃き掃除を行い、見事に整った姿の玄関になりました。
初めての災害ボランティアへの参加。温かい家族のような仲間との素敵な出会いがあり、多くのことを学びました。一人の力は小さいけれど、動いてみなくては見れない世界がある。
一刻も早い復興をお祈り致します。
一人の力はあまりにも小さい。だれど、ボランティアに参加してみてよかった。「自分になんかできることはない」と閉じこもっているのではなく、一歩を踏み出してみてよかった。また一つみたことのない世界を知り、素敵な人との出会いがあり、一期一会の出会いの中で温かい時間を過ごすことができました。